旅の思い出

先日、父親の誕生日会があり
"カスク・ウィスキー"をプレゼントしました。

ゴールデンウィークに訪れた
ニッカウヰスキー宮城峡蒸留所(仙台工場)で購入したものです。

仙台で2泊、山形で1泊。
3泊4日の旅行の中で、この蒸留所見学は
今回の旅のメインでした。

仙台市内からバスで約1時間。
バスを降りてしばし山道を歩いていると
背の高い木々の間から、レンガで出来た明るいオレンジ色の
建物が見えてきました。

敷地は広く、中央にある池では白鳥が泳いでいます。
大きな木の根元には芝生が敷き詰められ
寛いでいる家族連れの姿が見えました。

近くには新川(ニッカワ)という名前の川が流れています。
当時、北海道余市に次ぐ2番目の蒸留所を建設すべく
全国の候補地を渡り歩いていた
創業者 竹鶴 正孝は
この川の清流を汲んでウィスキーの水割りを作り
その場で蒸留所建設を決断したのだとか。

「自然の姿をこのまま活かすこと」との銘を受けて作られた。
という話のとおり、森の中で、ひっそりと
今日もウィスキーはここで生を受け、眠りについています。

「ピート」の煙たい香り
熟成前の、まだ無色透明なウィスキーの荒々しい香り
樽が並ぶ湿った倉庫の香り

見学に参加して気づいたことは
初めて見て、初めて嗅いだものであるにも関わらず
「ウィスキー」を口にした時から、既にどれも知っていた。ということでした。
それは、私を大いに嬉しくさせてくれる発見でした。

「全然分からない」という顔をしている子供の傍らで
それらの匂いを嗅ぎながらニッコリ微笑む大人たち。

きっと、皆が同じことを感じていたに違いありません。

ところで。

ガイドブックを読んで
ずっと楽しみにしていた 「3種類をそれぞれ1杯ずつ」 の試飲は
実際体験してみるとそれほど良いものではありませんでした。

薄々感づいてはいましたが
"気分が乗らない"とでもいいましょうか・・
試飲もそこそこに、すぐにお土産コーナーへ移動した私たち。

ウィスキーには"夜"が似合います。

家に持ち帰ったカスク・ウィスキーには
しかるべき時
しかるべき場所で
じっくり・ゆっくり・味わわれる
そんな"いい思い"をしてもらいたいものです。