「壁」と「卵」

"If there is a hard, high wall and an egg that breaks against it,
no matter how right the wall or how wrong the egg,
I will stand on the side of the egg."

 たとえばそこに硬くて高い壁があって

 一個の卵がそこにぶつかって行くとしたら

 たとえ

 壁がどんなに正しくても

 卵がどんなに間違っていたとしても

 僕は卵の側に立ちます

エルサレム賞授賞式での村上春樹さんのスピーチを見て涙が出ました。

今まで作品を読んできて
個人的に「村上春樹さんの思想の核である」と感じていた内容が
「物語」を通してではなく、ご本人の「言葉」として直接語られたということ

著名な作家であり、授賞者であるとはいえ
それが、世界という大きな「壁」を相手にして
「卵」の立場で語られた言葉であったということ

大好きな人が、自分の想像よりも遥かに素晴らしい方であったということ

イスラエルのガザ侵攻について日頃格別憤っていた訳でもなく
また、村上春樹さんについて、何を知っているのか?と問われても
本当のところ、披露するような知識など大して持たないわたしは
今、この一連の出来事が意味することについて
ほんの一部しか理解できていないはずですが

そのことについては、おいおい考えていくこととして

ここには、「感動した」という事実のみ
書き留めておきたいと思います。