ライブ鑑賞記
何度も寝返りを打ちながら
音楽が頭を巡って眠れなくなるなんて何年ぶりだろう
と、考えていました。
数年前。
練習日である水曜の夜は、決まってなかなか寝付けずにいたものでした。
「ジャズの和音には"緊張"があるから、気持ちが高ぶるんだよ。」
そんな話を教わったのも、その時期でした。
でも、どんな時でもグッスリ眠れている最近を考えると
どうやら理由はそれだけではなかったようです。
ギター、ベース、ボーカルというシンプルな編成ながら
深みと奥行きを感じさせる演奏。
ステージ上では、3人から発せられる全てが
共に鳴って増幅し、発熱していました。
りかさんが着ておられたドレスと同じ、鮮やかな赤い色が
ワーッと押し寄せたと思ったら
それを絶妙なタイミングで隠して
スッと差し出される、穏やかな空間。
すっかり魅了されてしまった私は
ひと時も目が離せず
まばたきを忘れて見つめていました。
この時、この瞬間
ステージ上の方々の力を結集して音楽が形作られている、凄み。
この日は何故か
1曲終わるごとに床に伏せ置かれていた譜面のように
音と共に生まれた空気がそのまま
会場内に一枚一枚積もっていくような感覚がありました。
帰宅したら、家中電気が消えていて
家族は既に就寝していました。
お風呂に入って
歯を磨いて
それでもまだ、熱を帯びながら留まっている大きな気持ちを
アウトプットする術が見つからず
暗闇の中、私の脳みそは何時間も歌い続けていました。
10月29日(木)9th Avenue
Vo.たなかりか Gt.渥美幸裕 Ba.塩田哲嗣