ある日の出来事

サエコちゃんの終電は11時。
練習後、私達は鍋谷くんの車に乗せてもらって新潟駅へ向かいます。

先日、駅へ向かう途中、うっかり1つ手前のインターで
降りてしまうという"事件"がありました。

終電の発車時刻まであと数分。
運の悪いことに、ことごとく信号に引っかかります。

「新潟駅まであとどのくらいあるの?
 車を降りて走ったほうが速い?」

助手席で焦るサエコちゃん。

「んとねー、んとねー、んとねー。
 あと3つ先の信号を左に曲がったら駅だよ。」

そう答える鍋谷くん。

・・・まだそんなに遠いのか・・・

車内には、心臓が飛び出そうなほどの緊張感が漂っていました。
最悪、サエコ嬢は新潟泊。

いつもノンビリしている鍋谷くんも
この時ばかりは口数が少なく、さすがに焦っているように見えました。

が。

「バリッ」

「ムシャムシャムシャ」

…???

思わず目を疑ってしまいました。
なんと、突如、鍋谷青年は、傍らにあった袋を開けて「パン」を食べ始めたのです。

信号待ちだから、確かにやることないけど
お夕飯も食べずに練習してお腹空いてるんだろうけど
なんにも悪くないけど

食べる?
パンを?
今?
この場面で?

これが、彼流の「ピンチの乗り切り方」なのでしょうか。
心の底から「すごい人だ。」と思いました。
すごすぎて、その場でコメントすることが出来ませんでした。

普段、鍋谷くんに迫る勢いで"おっとり"暮らしている
サエコ嬢も、この日ばかりは、ものすごい快足を見せ
車を降りたと思ったら、あっという間に見えなくなりました。

無事、電車に乗れたところを見届けて、ようやく私は安心した訳ですが
思い返すだにおかしくて(全体的に)、こうして日記としてしたためることにしました。

この話には登場しませんが、堤くんはいつもこんな人たちをニッコリしながら眺めてくれています。

「堤くんに嫌われないように気をつけようね」
昨晩は、こうした約束と共に会話が締めくくられました。

さて、こんな私達のライブが今週末行われます。

大丈夫です。

音楽だけは、真剣勝負でお届けしています。是非!

さえこトリオ&RENA
日時:5月29日(土)20:00~
会場:9th Avenue(イタリア軒向かい)

小出紗重子(p) 堤真介(b) 鍋谷聡(ds) RENA(vo)