おばさんになった日。
病院に向かう道すがら
近くのお花屋さんでバラの花束を見つけました。
「妹と、母と、付き添ってくれた義理のお母さんに。
それから、義理のお姉さんにも!」
すっかり嬉しくなってしまって、衝動買い。
真紅、黄色、朱色、淡いピンク
色違いで選んだ4つの花束を抱えて
夕刻の万代橋を渡りました。
妹の赤ちゃんが生まれました。
3330グラム。
真っ赤な顔をして、唇をワナワナと震わせ全身で泣いています。
幼い頃、風邪をひいて寝込んでいたときみたいに
前髪の間から、ツルッとしたおでこと、憂いのある眉間を覗かせ
頼りない顔でベッドに横たわっている妹は
ひどく子供らしく見えて
一瞬、
ここにいる 「ちっちゃい人」 と 「妹」 とのつながりが
分からなくなってしまうのですが
不思議なことに
さっきまでここにいなかったはずの 「ちっちゃい人」 だけは
確信に満ちていて
誰よりもはっきりと自分のお母さんを知っているのでした。
暗くなった夏の海岸線は
松の香りに満ちていて
夜風に吹かれながら
あの子にだけは、悲しい思いをして欲しくないなぁ。
と、考えていました。
みんな、そんな風にして生まれてきたんですね。
お誕生日、おめでとう。